こんにちは!整体院導の石川です。
これまでいくつか腰椎椎間板ヘルニアに関係する記事を投稿していましたが、今回は『腰椎椎間板ヘルニアの基礎知識』について主にお話していこうと思います。
ヘルニアが一体どういうものなのか?自然に治っていくものなのか?等、なかなか病院では聞くことがないことに関してもお話していきますので、是非最後までご覧ください。
椎間板って何?
まず腰椎椎間板ヘルニアのお話を勧める前に、椎間板の役割についてお話していこうと思います。
椎間板とは、椎骨(背骨)の間に一つずつ存在する円形の軟骨。ゼラチン状の髄核とコラーゲンが含まれる繊維輪から構成されていて、日常生活の背骨に加わる衝撃を吸収するクッションのような働きを持つ。
この衝撃吸収をしてくれる椎間板が前方または後方に飛び出して、神経を圧迫することで痛み・痺れなどの症状が出ている病態を椎間板ヘルニアと言います。
ちなみに椎間板に加わる負荷は、姿勢によって変化することをご存知でしたか?
上の画像は数字が低い方が椎間板に加わる負荷が小さく、数字が高い方が負荷が大きいという事を表しています。
皆さんからしたら立っている時よりも、座っている時の方が椎間板に加わる負荷が大きいことは意外だったのではないでしょうか?
ヘルニアの発症リスク
腰椎椎間板ヘルニアの発生に影響を与える因子は身体的・環境的・遺伝的要素にそれぞれ大別できます。
身体的要素
①腰椎(腰の背骨)の関節が動きが異常に大きい
環境的要素
①職業の影響
➡ヘリコプターのパイロット・宇宙飛行士・医師及び医療従事者・全身振動を受ける職業(現場仕事やドライバー等)・時間の余裕がない労働環境
②喫煙
遺伝的要素
これら以外にも発症リスクとされる報告がありますが、はっきりとしているわけではないため今回は省きました。
上記が発症リスクになり得るのですが、よく患者さんから「昔スポーツをやってたからそのせいかな~」とお話を伺うことがあります。
あくまで現時点ではという事になりますが、スポーツと椎間板ヘルニア発生の関係があるとは断定できないとされています。
ヘルニアの診断
先に誤解を招かないよう断っておきますが、診断を下せるのは医師のみであり、その他の医療従事者が「これヘルニアですよ!」と診断することは出来ません。
しかし、整体で施術をする前にお話を聞いていると【腰椎椎間板ヘルニア】という疾患名があまりにも安易に使用されているのでは?と感じることがあります。
整形外科に通院してMRIのみで腰椎椎間板ヘルニアと診断された方も多くいますが、ガイドラインでは『MRI画像診断においては、非特異的な椎間板ヘルニア(膨隆)の有病率は高く、画像診断のみに依存することは回避されるべきである』とされています。
つまり『ヘルニアそのものが症状の原因になることは少ないので、MRIを撮って仮にヘルニアがあってもそれだけで決めつけちゃいけないよ』ということです。
実際、腰痛ではない方の腰をMRIで見てもヘルニアが認められることが多々あります。
椎間板ヘルニアそのものが原因になっている方の人数を計算してみたので興味があればこちらの記事をご覧ください☟
腰椎椎間板ヘルニアには細かい診断基準があり、それらすべてに当てはまって初めて『腰椎椎間板ヘルニアが原因の症状』と言えます。
①腰・下肢痛を有する(主に片側、ないし片側優位)
②安静時にも症状を有する
③下肢挙上テスト(SLR)が陽性(ただし高齢者は絶対条件ではない)
④MRIなどの画像所見で椎間板の突出が見られ、脊柱管狭窄症を合併していない
⑤症状と画像所見が一致する
以上5つが全て当てはまらないと、腰椎椎間板ヘルニアとは言えません。
ですので、画像所見だけで「手術が必要」と言われたとしても、必ずしも手術が必要とは限りません。
しかし画像検査そのものは、腰椎椎間板ヘルニアが疑われる場合は、最初に行われるべき検査になるため、腰痛や脚への痛み・痺れなどがあるときはまず整形外科への受診をお勧めします!
腰椎椎間板ヘルニアの症状
腰椎椎間板ヘルニアの症状はいくつかありますが、主なものは以下の2つです。
①持続する腰背部痛
②下肢への痛み・痺れ・筋力低下
咳・くしゃみ・努責(フンッと力むこと)によって下肢痛の悪化は腰椎椎間板ヘルニアを示唆する重要な特徴とされています。
若年者の場合、体幹の前屈み動作の動きに制限が強く、モモの裏が固まっていたり、痛みにより背骨が横に曲がるようになるのが特徴的です。
しかしこれらの症状が出ているだけでは、まだ腰椎椎間板ヘルニアの可能性は低いんです。
これは先ほどの項でヘルニアの診断基準でお話しした症状と画像所見が一致するという部分が非常に重要だからです。
例えばヘルニアを起こしやすい部位は、腰の背骨の上から5つ目と4つ目の間にある椎間板です。
腰の背骨の間から脚の方へ伸びる神経が出てくるのですが、この神経は伸びてくる場所によって支配する身体の部位が異なります。
上の画像を見て頂くと真ん中の絵で青くなっているところが、腰の背骨の5番4番のヘルニアによって痛み・痺れ・筋力低下といった症状が出る部位になります。
つまり『ヘルニアが5番と4番の間にある』となっても、症状がスネ~親指ではなく、上の画像とは別の場所に出ているのであれば、診断基準の【症状と画像所見が一致する】に当てはまっていないため、ヘルニアは症状と関係ないと言えます。
腰椎椎間板ヘルニアの治療
まず治療のお話をする前に皆さんに知っておいてほしいことがあります。
それは・・・
腰椎椎間板ヘルニアは自然経過によって症状の原因となっているヘルニアの吸収が生じうる疾患であり、吸収されるまでの時期として3か月が目安とされている
ということ。
もちろん全てのヘルニアが綺麗さっぱり吸収されるわけではありませんが、吸収が生じる可能性があるため、重度のマヒなどが生じていない限り、まずは保存療法が基本となります。
病院で薬の処方をしてもらったり、整体などでの手技療法が保存療法ですね。
中には腰の牽引をして、背骨の間を広げてヘルニアの改善を図る方法もありますが、実はコレあまり・・・というかほとんど効果が認められていないものです。
詳しくはこちらをご覧ください☟
保存療法を行ってもあまり改善が見られない場合、手術を行うかどうかを検討する段階へ入ります。
まとめ
①椎間板の役割は衝撃吸収
②画像所見だけではヘルニアと診断できない
③治療は原則保存療法から始める
ヘルニアだからと言って一生付き合わなければいけない病気ではありません。
病気のことを知らないと、不安感が強くなり、過剰に痛みを感じるようになってしまいます。
腰椎椎間板ヘルニアについて知ることが治療の第一歩です!
また自宅でのセルフケアとしては、まず股関節や背骨を柔らかくするようなものを行っていただくと、比較的良好な反応が得られることが多いです。
通院中の病院や整体の先生に自宅で出来るセルフケア方法を聞いて、実践し、早期改善を目指しましょう。
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