こんにちは!石川です。
【骨盤矯正】
これは一般の方でも良く知られている言葉ですよね?
実際、治療院に行くと
「○○さんの痛みは骨盤の歪みによるものです!」
「左右の足の長さだいぶ違いますよ!」
とほぼ8~9割の確率で言われると思います。
でも知ってますか?
実は骨盤が歪むなんてことはあり得ないんです。
今から骨盤が歪まない理由についてお話していきます。
骨盤の構造
まず、骨盤は腸骨・恥骨・坐骨・仙骨・尾骨の4種類で構成されています。
そして、それぞれの骨を繋いで安定させるために数多くの靭帯が付着していて、その靭帯の延長に筋肉が存在しています。
骨盤に付着している主な靭帯は8種類あり、それぞれの靭帯の延長にある筋肉は以下の通り。
・腸腰靭帯―腰方形筋、腸骨筋
・仙棘靭帯―大殿筋下部繊維
・後部仙腸靭帯―ハムストリングス、大殿筋上部線維
・仙結節靭帯―大腿二頭筋
・恥骨靭帯―腹直筋、外腹斜筋、錐体筋、大内転筋
・腸骨大腿靭帯―中殿筋、大腿筋膜張筋、恥骨筋、短内転筋
・恥骨大腿靭帯―恥骨筋、短内転筋
・坐骨大腿靭帯―大殿筋、大腿方形筋、閉鎖筋
これだけ多くの靭帯・筋肉により、支えられています。
そのため解剖学上これほど強固な結合組織により、保護されている骨盤が歪むのはあり得ないんです。
そもそも歪みって何?
そもそもよく耳にする『骨盤の歪み』って具体的にどういったものでしょうか?
- 骨盤の捻じれ
- 骨盤の開き
- 骨盤の高さの違い
- 脚の長さの違い
上記のものがよく説明される内容の一例になりますが・・・。
確かに骨盤を構成する腸骨と仙骨からなる仙腸関節という関節は、わずかに動くという研究結果も出ています。
しかし、その動きは『人に備わった機能の一つ』の為、それを歪みとは言い難いですね。
出産に伴って骨盤を繋いでくれている恥骨結合が離開することもありますが、その場合は整体でどうこう出来るものではありません。
産後の骨盤矯正についてはこちらをご覧ください☟
骨盤の高さや足の長さそのものが問題となることはまずありません。(側弯や変形性関節症の場合は除く)
つまり骨盤の歪みと言っていても、多くは間違っていることがほとんどというわけです。
※患者さんがイメージしやすい言葉として扱っているだけの場合もあるため一概には言えませんが
骨盤矯正で治ったってそれほんとに歪みのせい?
しかし、患者さんの中には
「でも骨盤矯正で歪みを治したら治ったよ?」
という方もいるでしょう。
ただ、それは骨盤の歪みを治したから良くなったわけではないんです。
というのも骨盤には固有感覚受容器というものが多くあります。
固有感覚受容器とは、いわばセンサーのようなもので関節・筋肉・靭帯・皮膚に存在し、身体の位置や動き・加わった力などの情報を脳に送る役割があります。
これらのセンサーに一定の刺激を与えるとその刺激が脳に送られ、筋肉や靭帯等の組織が緩んだり、機能が改善することがあります。つまり・・・
「歪みが治ったわけではなくその刺激により体が何らかの変化をきたした」
というのが正しいわけです。
これが結果的に姿勢や脚長差が改善したように見えるため
「あなたの症状は骨盤の歪みです!」
という浅はかな結論を患者さんに伝えてしまうわけです。
「治れば結果オーライ」
信じたくありませんが、こう考える治療家も一定数います。
でも人の体に触れて、治療する側の人間が治るか治らないか分からないバクチのような治療をして、そして何かが作用して良くなったけどその何かが分からない。
「よく分かんないけど治ったわ、ラッキー!」
こんな人に治療される患者さんはどう思うんでしょうか。
僕は怖くてそんなところには行けません。
仮に悪化した時にそういった治療院は何も責任を取れません。
盲目的に間違ったものを正しいと信じ込んで、間違ったものをひたすら患者さんに与え続ける治療家もいます。
医療従事者ならば、常に正しいものを選択して、正しい知識を患者さんに与える義務があると僕は考えています。
最後に
ここまでのお話を聞いて『今自分が通っているところは骨盤矯正をやっているがいいのか?』と不安に思われる方もいると思います。
それに対して正直に言うと「分からない」と言うしかありません。
実際、骨盤矯正と言う商品名にしているだけで説明や施術の考え方はとてもしっかりしている先生もおられます。
僕がここまでお話ししたのは、理論などを全て吹っ飛ばして間違った情報を患者さんに与えてしまい、結果として患者さんが歪みというものに囚われすぎてしまっていると多々感じることがあるからです。
「自分の身体は歪んでしまっているから調子が悪い」と強く思い込んでしまうと、心理的に悪影響を与えるため症状の改善は遅くなってしまいます。
心理的ストレスによる痛みへの影響を知りたい方はこちらをご覧ください☟
そうはならないように今日は少しでも皆さんに【正しい】ものが伝わればと思って記事にしました。
次回もお楽しみに!