ある時、何の前触れもなく突然首に激痛が走ったら…
もしかしたらそれは『重篤な病気が隠れているサイン』かもしれません。
首が痛いからとりあえず近所の整体に行ったら
①ストレートネックですね!
②体の歪みのせいですね!
③インナーマッスルが使えていないからですね!
と言われ重篤な疾患が見逃されてしまい、取り返しのつかないことになるかも…
そうならないためにも今回は、首の激痛が示す病気のサインについて詳しくお話していこうと思います。
首の痛みを出す病気
首の痛みを伴う疾患はいくつかありますが、その中でも4つピックアップしてお伝えしていきます☟
- 椎骨動脈解離
- 髄膜炎
- クラウン・デンス症候群
- 転移性脊椎腫瘍
①椎骨動脈解離
『椎骨動脈解離(ついこつどうみゃくかいり)』
最近ニュースでこの言葉を見かけて記憶に新しい方もいるのではないでしょうか?
先日お笑い芸人の千鳥・ノブさんが入院したのがこの疾患でしたね。
椎骨動脈解離って何?
動脈は「内膜」「中膜」「外膜」の三層構造になっていて、このうち椎骨動脈の「内膜」が裂けてしまい、内膜と中膜、もしくは中膜と外膜の間に血液が流れ出てしまった状態のことを【椎骨動脈解離】と呼びます。
40代~50代に比較的多く見られる疾患ですが、発見が遅れてしまうと血が固まって脳へ血液供給が出来なくなって【脳梗塞】や血管外まで血液が流れてしまい【くも膜下出血】などの命に関わる危険な状態に発展してしまいます。
椎骨動脈解離の症状
椎骨動脈解離の代表的な症状は
『左右どちらか、もしくは両側の首の後ろから後頭部にかけた強い痛み』です。
40~50歳代で上記の症状があるのなら、早急に専門医の診察を受けることをお勧めします。
なぜならその痛みは筋肉云々ではなく、血管が裂けていて命に関わる症状かもしれないからです…
②髄膜炎
髄膜とは脳を包み込んで保護している薄い膜のことで、この膜に細菌やウイルスが感染して炎症が起こると【髄膜炎】になります。
髄膜炎には大きく「ウイルス性髄膜炎」と「細菌性髄膜炎」の2つがあり、細菌性髄膜炎はウイルス性髄膜炎よりも非常に重い病気です。
ウイルス性髄膜炎は通常1週間ぐらいで治癒し後遺症もほとんどみらませんが、一方、細菌性髄膜炎は死亡率は数%~十数%と高く、後遺症も患者さん全体の20~30%程度にみられます。
髄膜炎の症状
髄膜炎の主な症状は以下のもの
- 風邪の様な症状
- 発熱
- 嘔吐
- (激しい)頭痛
これに加えて細菌性の場合はさらに
- 首が曲がらない
(下を向こうとすると首が痛い) - 意識がもうろう
- けいれん
といった症状が現れます。
髄膜炎の発熱と頭痛について
髄膜炎の症状で発熱と頭痛があると前述しましたが、これらの症状についてより詳しくお伝えします。
まず発熱について
髄膜炎は炎症性の疾患なので、細菌性髄膜炎では原則高熱が現れますが、高齢者の場合は発熱を認めないこともあります。
次に頭痛について
後頭部や前頭部に部分的に頭痛を訴えることもありますが、大半は頭全体で持続的な痛みが特徴的です。
『ガンガンするような』『割れるような』痛みがあったり、頭を振る動作や下を向くといった動きによって頭痛がより強くなります。
首の痛みに加えて発熱など風邪の様な症状がある場合は、髄膜炎などのウイルス性・細菌性の疾患の可能性が考えられるため、必ずお近くの病院で診察を受けてください。
③クラウン・デンス症候群
クラウン・デンス症候群(Crowned Dense Syndrome)とは、頸椎の1番と2番(環軸関節)に起こる偽痛風のこと。
通常、痛風は高尿酸血症が見られますが、痛風と似たような症状なのに高尿酸血症が見られないものを『偽痛風』と呼びます。
クラウン・デンス症候群の症状
クラウン・デンス症候群で最も特徴的なのは『首を左右に振る動きの痛み・制限』です。
これだけだと『寝違え』と見分けがつきませんが、この病気は60歳以降の女性に多く、加えて発熱・ご飯を飲み込みにくいといった症状が現れます。
痛み止めが効果的
こちらの病気は痛み止めが良く効くものになります☟
CDSの予後は良好で,非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal anti-inflammatory drugs:NSAIDs)が著効し数日から数週間で軽快することが多い
早期に診断,治療し得たcrowned dens syndrome 2症例の経験
『ただの寝違えとかかな?』と思っても前述した症状や性別・年齢が当てはまる場合は、整体に通院するよりもまず病院で診察を受けましょう。
命に関わるような疾患ではありませんが、その方がお金も時間もかからずより早く症状は緩解するでしょう。
④転移性脊椎腫瘍
最後にお伝えするのは転移性脊椎腫瘍、つまりガンですね。
単なる首コリや肩こりによる痛みだと思っていたら実はガンだった…という可能性も少なからずあります。
脊椎に転移しやすいがんとして、「肺がん」「乳がん」「胃がん」「前立腺がん」「子宮がん」があげられます。
症状
首の背骨にガンが発生した場合は以下の様な症状が現れます。
- 痛む場所がバラバラ
- 日増しに痛みが強くなる
- 激しい痛み
- めまい
- 腕に広がる痛み
- 指先の痺れ
- 夜間に強くなる痛み 等
ただの凝りによるものでは、日増しに痛みが強くなる・激しい痛み・夜間に強くなる痛みが起こることはありません。
上記の症状が少しでもみられて、鎮痛薬の効果も感じられない場合は稀ではありますが、ガンによるものの可能性があります。
特に過去にガンを発症した経験がある方、親族にガンを患った人がいる方は医師の診察を受けた方が良いでしょう。
まとめ
- 首が痛くなる4つの病気
- 各病気の症状
- まずは医師の診察を
病気は早期発見・早期治療が非常に大切!
ただの首の痛みと油断せず、まずは医師の診察を受けて、そこで異常がないと分かってから整体へ通院することをお勧めします。
首の痛みだけでなく危険な頭痛の見分け方についても過去記事で解説しています。
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