『太りすぎているから腰が痛くなるんだよ』
よく耳にするお話ですよね。
体重が重いから腰にかかる負担が大きくなる…
確かにイメージしやすいお話ですが、本当に体重増加そのものが腰痛になるのでしょうか?
今回は『肥満と腰痛の関係性』について実際の研究結果に基づいて僕自身の考えも交えながらお話していこうと思います。
肥満の基準
まず肥満と腰痛の関係性をお話しする前に『肥満の基準』を知らなければいけませんね。
まずは肥満の定義から☟
「脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数(BMI)25以上のもの」が肥満
肥満と健康 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
ちなみに標準とされるBMIは男女ともに22.0ですが、BMIは身長と体重のみで求めた数値なので、筋肉質なのか脂肪過多なのかは判断できません。
例えばボディビルダーは筋肉質ですが、体重も多いので体脂肪が低くてもBMI上は高い数値になってしまいます。
※一般の方がそうなることは少ないですが…
ですので、BMIはあくまでも目安の一つとして認識しましょう。
BMI別肥満度はこちら☟
例:Aさん 身長160cm 体重70kg
BMI=70kg÷(1.6m×1.6m)=27.34…
Aさんは肥満1度になります。
電卓があれば簡単に計算できるのでサクッとご自身のBMIを計算してみてください!
肥満と腰痛の関係
さて、肥満の基準をお分かりいただけたところで本題に入りますね。
2012年の研究では
MRIで腰椎椎間板変性を体系的に評価するための最大の研究の1つで、太りすぎおよび肥満の成人における椎間板変性の存在、程度、および全体的な重症度と体重との間に有意な関連があることが示されました。
太りすぎおよび肥満の成人における磁気共鳴画像法における腰椎椎間板変性症とボディマス指数との関連:集団ベースの研究-PubMed (nih.gov)
という結果が出ています。
しかし、個人的にはこちらの研究だけでは疑問が残ります。
というのも別の記事でもお話していますが、椎間板変性そのものが必ず腰痛の原因となるわけではないからです。
そうなると単にBMIが高いことが腰痛と関連するとは限らないと思います。
BMIよりも脂肪量が重要
比較的新しい2022年の研究では椎間板の変性ではなく、純粋に『腰痛』との関連を調べたものがあります。
こちらの研究はBMIではなく、胴囲(WC)・ウエストヒップ比(WHR)・体脂肪率(BFR)・総体脂肪量(BFM)が腰痛(LBP)のリスクと関連するか?について調査したものです。
WC、WHR、BFR、または総BFMが増加した個人は、ボディマス指数(BMI)が正常であるかどうかに関係なく、LBPのリスクが高い傾向があることを示唆しました。過剰な脂肪量がプロセスの本質でした。
胴囲、ウエストヒップ比、体脂肪率、総体脂肪量、腰痛のリスク:システマティックレビューとメタアナリシス – PubMed (nih.gov)
結果としてはBMIが正常でも脂肪量が過剰だと腰痛のリスクになるというものに。
BMIの数値よりも脂肪量の数値の方が腰痛には重要という事ですね。
以前、肥満と変形性膝関節症について解説しましたが、こちらは肥大化した脂肪細胞が関わるというお話でした。
2022年の研究結果でも同じことが言えるのではないでしょうか?
単に太って重いから腰痛になるわけではなく、肥満により肥大化した脂肪細胞が炎症を引き起こすから腰痛になるということが本質的なところかな個人的には思います。
まとめ
とはいえ、ジムでガンガン身体を鍛えている場合を除き、BMIが高ければほとんどの方は脂肪量も過剰になっていると思うので、BMIの数値が全くの無関係とはいえません。
ですので、特に運動習慣がなくBMIの数値も高い場合は、整体だけでなく運動+食生活の見直しで体重や脂肪量のコントロールをしていくことでより痛みの改善のスピードは早くなると考えています。
また、前述した研究結果を参考にするなら、いわゆる『隠れ肥満』の場合も脂肪量が過剰になっていて腰痛のリスクになるのでBMIが正常でも油断大敵ですね。
この機会に是非ご自身の生活習慣を見直して辛い腰痛を撃退してみてください!
コメント