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変形性膝関節症で「正座ができない」のはなぜ?曲げると痛い本当の理由

変形性膝関節症
この記事は約8分で読めます。

「正座をしようとすると膝が痛い」

「途中までは曲がるけど、最後がどうしても無理」

変形性膝関節症の方に非常に多い悩みです。

しかし、この“正座ができない”という現象は、単純に軟骨がすり減っているから起きているわけではありません。

正座では膝関節が最大屈曲域(約150度前後)まで曲がります。

この深い屈曲では、平地歩行とはまったく異なる力学が働きます。

  • 関節面の接触部位が後方へ移動
  • 半月板が強く圧迫される
  • 膝蓋大腿関節圧が急上昇
  • 関節内圧が増加

つまり正座は、

膝にとって“高圧縮・高屈曲”の動作

なのです。

  1. 第1章:なぜ正座では膝の奥が痛むのか?
  2. 第2章:軟骨のすり減りだけでは説明できない理由
    1. ■ 痛みの発生源は「滑膜」と「関節包」
    2. ■ 半月板へのストレス
    3. ■ 関節内圧の問題
    4. ■ なぜ“最後の数センチ”が特に痛いのか
  3. 第3章:正座で「膝の内側」が痛む人の構造的特徴
    1. ■ 特徴①:股関節が硬い
    2. ■ 特徴②:足部が内側へ崩れている
    3. ■ 特徴③:骨盤が後傾している
    4. ■ 内側痛は「結果」である
  4. 第4章:膝のお皿の奥が痛むのはなぜ?膝蓋大腿関節の圧力問題
    1. ■ 正座では膝蓋大腿関節圧が急上昇する
    2. ■ 大腿四頭筋の緊張が痛みを増幅する
    3. ■ 膝蓋骨の可動性低下も関与する
    4. ■ 「曲げきれない」のは防御反応でもある
  5. 第5章:正座で「膝の裏が詰まる・突っ張る」本当の理由
    1. ■ 深屈曲では「後方組織」が圧縮される
    2. ■ ハムストリングの短縮も影響する
    3. ■ 関節内圧の上昇と血流変化
    4. ■ 「曲がらない」のは壊れているからではない
  6. 第6章:正座ができる人・できない人を分ける「決定的な違い」
    1. ■ 違い①:股関節と足部が「膝の代償」をさせていない
    2. ■ 違い②:関節包・滑膜の“詰まり”があるかどうか
    3. ■ 違い③:神経の過敏化が進んでいるか
    4. ■ 結論:正座できないのは「膝が終わった」ではない
  7. 第7章:正座を取り戻すために必要なのは「圧の再設計」
    1. ■ ① 股関節から折れる動作へ変える
    2. ■ ② 足元を整える
    3. ■ ③ 関節内の“詰まり”を解放する
    4. ■ ④ 神経の過敏性を落ち着かせる
    5. ■ 改善までの現実的な目安
  8. 問い合わせ

第1章:なぜ正座では膝の奥が痛むのか?

正座で痛む部位は、

  • 膝の内側
  • 膝のお皿の奥
  • 膝の裏側

と人によって異なります。

しかし共通しているのは、

深屈曲で関節内圧が急上昇すること

です。

変形性膝関節症では関節裂隙が狭くなっています。

そこへさらに強い屈曲が加わると、

  • 内側コンパートメントへの圧縮集中
  • 滑膜の挟み込み
  • 半月板へのストレス

が発生します。

その結果、

“最後まで曲げた瞬間にズキッとする”

という症状が出るのです。

第2章:軟骨のすり減りだけでは説明できない理由

変形性膝関節症と診断されると、

「軟骨がすり減っているから正座ができない」と説明されることが多いでしょう。

しかし、ここに大きな誤解があります。

軟骨自体には神経がありません。

つまり、軟骨がすり減っているだけでは“痛み”は出ません。

では何が痛みを出しているのでしょうか。

■ 痛みの発生源は「滑膜」と「関節包」

膝関節の内部には、滑膜という膜が存在します。

この滑膜は、非常に痛みに敏感な組織です。

正座のような深い屈曲では、

  • 関節内圧が急上昇
  • 滑膜が圧迫される
  • 滑膜ヒダが挟み込まれる

という現象が起きます。

これが「膝の奥がズキッとする」痛みの正体です。

■ 半月板へのストレス

正座では半月板が後方へ押し出されます。

変形性膝関節症では、

  • 半月板の変性
  • 後角部への圧縮増加
  • 可動性の低下

が起きやすくなっています。

そのため、最大屈曲で

半月板が強く押しつぶされる感覚

が生まれます。

■ 関節内圧の問題

正座の姿勢では、関節内圧が大きく上昇します。

関節裂隙が狭くなっている状態では、この圧が逃げにくく、

  • 骨同士が近づく
  • 軟部組織が挟まれる
  • 神経終末が刺激される

という流れになります。

■ なぜ“最後の数センチ”が特に痛いのか

途中までは曲がるのに、最後だけ痛い。

これは、

関節面の接触位置が急に変わるから

です。

膝は深屈曲になるほど、接触部位が後方へ移動します。

変形している部位と接触した瞬間に、痛みが出ます。

つまり正座ができないのは、

軟骨がゼロだからではなく、深屈曲時の圧力分布が崩れているから

なのです。

第3章:正座で「膝の内側」が痛む人の構造的特徴

正座で特に多いのが、

膝の内側がズキッと痛むという訴えです。

これは単なる“変形しているから”ではありません。

正座で内側が痛む人には、共通する構造的特徴があります。

■ 特徴①:股関節が硬い

正座は膝の動きだけで完成する姿勢ではありません。

股関節の

  • 屈曲
  • 内旋
  • 外旋

が適切に働くことで、膝への負担は分散されます。

しかし股関節が硬いと、

曲がらない分を膝が代償する

形になります。

その結果、内側関節面への圧縮が増加します。

■ 特徴②:足部が内側へ崩れている

足部が過回内(踵が内側へ倒れる)状態だと、

  • 脛骨が内旋
  • 大腿骨も内旋
  • 膝が内側へ寄る(ニーイン)

という連鎖が起きます。

この状態で深く曲げると、

内側半月板と内側軟骨に圧縮+ねじれストレス

が集中します。

■ 特徴③:骨盤が後傾している

骨盤が後ろへ倒れていると、

  • 股関節が十分に折れない
  • 太ももが内側へ入りやすい
  • 膝に回旋ストレスが加わる

という状態になります。

正座では体重が後方へ移動します。

骨盤後傾があると、

内側に体重が流れやすい

のです。

■ 内側痛は「結果」である

正座で内側が痛むのは、

内側に負担が集まる構造になっているから

です。

膝そのものを揉んでも、湿布を貼っても、

この構造が変わらなければ再現します。

内側痛は、足・股関節・骨盤の連鎖の結果なのです。

第4章:膝のお皿の奥が痛むのはなぜ?膝蓋大腿関節の圧力問題

正座でよく聞くもう一つの訴えが、

「膝のお皿の奥が痛い」

というものです。

この痛みの主役は、膝蓋大腿関節(しつがいだいたいかんせつ)です。

■ 正座では膝蓋大腿関節圧が急上昇する

膝を深く曲げるほど、膝蓋骨(お皿)は大腿骨に強く押し付けられます。

屈曲角度が深くなると、

  • 接触面積は増えるが
  • 単位面積あたりの圧力も増加する

という状態になります。

特に120度を超える深屈曲では、

膝蓋大腿関節圧は体重の数倍に達すると報告されています。

変形性膝関節症では軟部組織の柔軟性が低下しているため、この圧に耐えにくくなります。

■ 大腿四頭筋の緊張が痛みを増幅する

正座の直前や立ち上がり動作では、前もも(大腿四頭筋)が強く働きます。

この筋肉が硬く緊張していると、

  • 膝蓋骨が上方へ引き上げられる
  • トラッキング(滑走軌道)が乱れる
  • 一部に圧が集中する

という現象が起きます。

結果として、

お皿の奥に鈍く重い痛み

が出ます。

■ 膝蓋骨の可動性低下も関与する

変形性膝関節症では、

  • 滑膜の肥厚
  • 関節包の拘縮
  • 軟部組織の癒着

が起きやすくなります。

これにより膝蓋骨の滑走が制限されると、深屈曲で

強い摩擦ストレス

が発生します。

■ 「曲げきれない」のは防御反応でもある

膝のお皿の奥が痛む方は、無意識にそれ以上曲げないようにします。

これは身体の防御反応です。

しかしこの状態が続くと、

  • 可動域がさらに減少
  • 筋バランスが崩れる
  • 正座どころかしゃがみ動作も困難

という悪循環に入ります。

つまり、お皿の奥の痛みは

圧力×筋緊張×滑走不全

の掛け算で生まれているのです。

第5章:正座で「膝の裏が詰まる・突っ張る」本当の理由

正座でよくあるもう一つの訴えが、

「膝の裏が詰まる感じがする」

「裏側が突っ張ってそれ以上曲がらない」

という症状です。

この違和感は、単なる筋肉の硬さだけではありません。

■ 深屈曲では「後方組織」が圧縮される

膝を深く曲げると、関節の後方では次のような変化が起こります。

  • 後方関節包が圧縮される
  • 半月板後角が押し込まれる
  • 脂肪体が挟み込まれる

変形性膝関節症では、

  • 後方関節包が硬くなっている
  • 滑膜が肥厚している
  • 関節内スペースが狭くなっている

ことが多いため、

“物理的に詰まる感覚”

が出やすくなります。

■ ハムストリングの短縮も影響する

膝裏の筋肉(ハムストリング)が硬いと、

  • 脛骨の後方移動が制限される
  • 屈曲時に強い張力がかかる

という状態になります。

このとき、

「筋肉の突っ張り」と「関節の圧迫」が同時に起きる

ため、違和感が増幅します。

■ 関節内圧の上昇と血流変化

正座では、関節内圧が上昇します。

さらに長時間正座すると、

  • 後方組織への血流が低下
  • 神経終末が刺激される

ことで、

ジワっとした圧迫感やしびれ感

が出ることもあります。

■ 「曲がらない」のは壊れているからではない

膝裏が詰まる感覚があると、

「もう曲がらないのでは」と不安になる方も多いです。

しかし実際は、

後方組織が硬くなっている・圧力が逃げない

という状態であることがほとんどです。

適切な評価とアプローチで、可動域が改善するケースは少なくありません。

第6章:正座ができる人・できない人を分ける「決定的な違い」

同じように「変形性膝関節症」と言われても、

正座ができる人と、できない人がいます。

この差は、レントゲンの変形度合いだけでは説明できません。

実際には、次の3つの要因が大きく影響します。

  • 構造(荷重と圧力の偏り)
  • 組織の柔軟性(関節包・筋・滑膜)
  • 神経の反応性(痛みの増幅の有無)

■ 違い①:股関節と足部が「膝の代償」をさせていない

正座ができる人は、膝だけで曲げていません。

股関節の柔らかさ、足部の安定性があるため、

膝に圧縮が一点集中しにくい

のです。

一方、正座ができない人は、

  • 股関節が硬い
  • 足部が内側に崩れる
  • 骨盤が後傾しやすい

といった要素が重なり、膝に代償が集中します。

■ 違い②:関節包・滑膜の“詰まり”があるかどうか

深屈曲で止まる人は、

  • 後方関節包の拘縮
  • 滑膜肥厚
  • 半月板後角の圧迫

が存在することが多いです。

この場合、筋肉を柔らかくするだけでは改善しません。

関節内で起きている圧の問題を見ないと、正座は戻りにくいのです。

■ 違い③:神経の過敏化が進んでいるか

正座ができない人ほど、

「痛みが出そう」という恐怖が強くなりがちです。

痛みが続くと、神経は敏感になります。

  • 通常の圧でも痛く感じる
  • 少しの突っ張りを危険信号として認識
  • 脳が痛みを増幅する

これにより、構造的には曲がる余地があっても、

痛みのブレーキで止まってしまう

ことが起きます。

■ 結論:正座できないのは「膝が終わった」ではない

正座ができない状態は、

壊れた証拠ではなく、圧の偏りと神経反応が強いサイン

であることが多いです。

正しく評価し、膝だけでなく足・股関節・骨盤まで含めて整えることで、

改善が期待できるケースは少なくありません。

第7章:正座を取り戻すために必要なのは「圧の再設計」

ここまで見てきた通り、

変形性膝関節症で正座ができない原因は、

  • 内側への圧縮集中
  • 膝蓋大腿関節圧の増加
  • 後方関節包の拘縮
  • 半月板後角へのストレス
  • 神経の過敏化

といった複合的な要因です。

だからこそ必要なのは、

「ただ曲げる練習をする」ことではなく、圧のかかり方を変えること

です。

■ ① 股関節から折れる動作へ変える

膝だけを折りたたむのではなく、

  • 骨盤を立てる
  • 股関節を十分に屈曲させる
  • 体幹を安定させる

ことで、膝への一点集中を防ぎます。

■ ② 足元を整える

踵の安定、母趾球での支持、過回内の改善。

足元が整うと、

膝内側への回旋ストレスが減少

します。

■ ③ 関節内の“詰まり”を解放する

後方関節包や滑膜の拘縮がある場合、

適切な評価とアプローチが必要です。

ここを無視して無理に曲げると、痛みは強まります。

■ ④ 神経の過敏性を落ち着かせる

慢性痛では、神経の感作が関与します。

適切な刺激量で段階的に可動域を広げることで、

痛みの反応は徐々に落ち着いていきます。

■ 改善までの現実的な目安

変形性膝関節症では、

  • 正座が楽になるまでに2〜3ヶ月
  • 痛みが安定するまでに半年程度

かかることも珍しくありません。

ただし、

正しい方向性で進めれば改善は期待できます。

問い合わせ

正座ができない状態は、

「もう曲がらない」という宣告ではありません。

当院では、

  • 膝だけでなく足・股関節・骨盤まで含めた総合評価
  • 荷重と圧力分布の分析
  • 再発しにくい動作設計
  • 靴・足元まで含めたサポート

を行っています。

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